10月4日(土)、愛知県名古屋市にて、
映画『ダムネーション』の特別試写会&トークイベントが開催されました。

 

会場には上映開始の1時間半以上前から、参加者の方が集まり始め、
最終的に100人を超える方々にご参加いただきました。

映画上映後のトークゲストは、
京都大学名誉教授の今本博健さん、
パタゴニア日本支社長の辻井隆行さん、
東京大学演習生態水文学研究所准教授の蔵治光一郎さん、
そしてジャーナリストで都留文化大学非常勤講師の保屋野初子さんの4名。

映画『ダムネーション』は渋谷アップリンク他で
11月22日(土)よりロードショー!
上映情報はこちら

 

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まずは辻井社長から、パタゴニアがこの映画をつくった背景について説明。
「ダムに反対するというよりは、川の本来の姿を取り戻すため。
川を愛しているなら、何かアクションを起こさなければ、ということから、
この映画は作られました。映像のもつパワーの凄さを感じている、という点もありますね。」

 

TimeLineMovie from United People on Vimeo.

 

続いて保屋野先生からは、アメリカのダムの変遷について説明がありました。
かつては、自然保護の運動がダム賛成の勢力に負けて、
各地の国立公園のなかにダムが作られてしまった50年があり、
その後、自然保護の思想が浸透して行き、各種の環境保護の法律がつくられた50年があり、
その後、ダム撤去が実現された。

すなわち、いきなり「ダム撤去」が起きたのではなく、
そこに至るまでに100年以上にわたる歩みがあったのです。

又、アメリカの自然保護運動の根幹には
「原生自然(人間が手を加えていない自然)を守りたい」という想いがあり、
アメリカは自然を克服する開拓の精神と、その反動として、
自然を保護しなければという気持ちのせめぎ合いの歴史であることの説明もありました。
その意味で、自然保護運動はアメリカ人のアイデンティティと深く関わっているのです。

 

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今本先生からは、戦国時代から現代に至るまでの、
日本における治水やダムの歴史について説明がありました。
中でも、現代の日本の状況は、ダム撤去よりも前の、
「無駄なダムを作らせないようにする」という段階で動いているというご指摘がありました。

また、日本の今の河川工学は、学者がほとんどお墨付きを与えるだけの
御用学者になってしまっており、政官学のトライアングルを正常にすること、
様々な審議会で推進派と反対派が同数で議論すること、
医療と同様、ダムについても第二オピニオンを聞けるような社会になることが望ましい、
とのお話がありました。

 

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蔵治先生は、開口一番、
「みなさん、映画の感動に包まれたまま、解散したほうがいいのではないか、というくらい感動した」
とお話され、会場が笑いに包まれました。
蔵治先生は「矢作川森の健康診断」という団体に関わり続けており、
映画に込められた「ダム撤去の実現は人々の不屈の情熱である」というメッセージが、
そのご活動と重なって、感動がひとしおだったようです。

又,蔵治先生からは、川は水だけでなく土砂も流すこと、
逆に、ダムが作られると、ダムの上流では土砂が堆積し、下流では不足するという問題が、
すでに生じていることのご指摘がありました。
今年は広島の土石流被害や御岳山の噴火などの土砂災害が生じており、
この土砂問題については、100年後の子孫の視点から、
冷静に考える必要に迫られているのではないか、とのお話をされました。

 

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最後に参加者の方々に、「この映画を多くの人に観てもらいたい人」と質問を投げかけると、
会場全体から手が上がりました。
勉強になることもたくさん。笑いもたくさん。
熱気に満ちたイベントとなりました。

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映画『ダムネーション』は渋谷アップリンク他で
11月22日(土)よりロードショー!
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映画『ダムネーション』 – DAMNATION