MESSAGE from 谷口けい
(パタゴニア・アルパインクライミング・アンバサダー)
http://www.patagonia.com/jp/ambassadors/alpine-climbing/kei-taniguchi/85767
この地球上に生命を授かった人間たち全てにこの映画を見て欲しい…!って思った。
この映画は、川とダムと魚と、それを取り巻く人間たちが舞台となっているけれど、
それだけにとどまらずこの作品を通して、山も川も海も美しく、
そこに生きる生命の営みはとてつもなく愛おしく美しいものなのだと、改めて考えさせてくれた。
魚たちは産卵のために、海から何千キロも旅をして、
幾つもの滝を飛び越えて、生まれ故郷の川へと戻って来る。
それは痛々しいほどに美しく、神秘的な生命の営みだ。
繰り返されてきたその行為は、ダムによって突然破壊されてしまった。
川や魚と共に生きてきた、そこに住む人たちの歴史も習慣も、
同時に破壊されてしまったってことだ。
ダムによって得られたものは何だろう?
そして、ダムによって失われたものは?
川は誰のもの?
そこに流れる風の声を聴いてみたくはないか?
本当の財産って何だろう?
水力発電も原子力発電も、人間のエゴであることは同じ。
この映画には、伏線で色んなメッセージが織り込まれていると気付かされる。
ダム撤去の動きが高まり、いくつかのダムが撤去され始めた。
それによって、淀んでいた水が流れ始め、99年ぶりにサケが戻ってきた川もあるという。
水の底に沈められた森も戻って来るだろうか。
幾つかの、ダイナマイトによるダム破壊のシーン。
その瞬間が、私は恐ろしくてたまらない。
作らなければ、破壊しなくて済んだのに。。。
その一方で、ダムに抗議する人たちのユーモア溢れる行動と熱い想いが、気持ちを和らげてくれる。
情熱と芸術が、川を救った—
飛行機よりも鳥を選び(by C.Lindberg)、
電力(ダム)よりも魚を選ぶ、
そんな人で自分もありたい。