MESSAGE from 三宅洋平((仮)ALBATRUS/NAU代表)
これは、あらゆる環境運動に関わっている人々に、
あるいは国の現状を憂いてそれを変革しようと小さな足掻きを営んでいる人々に、
必ず観てほしい映画である。
僕が2013参院選で主張した「破壊から再生の公共事業へ」を、
まさに地でいく動きが今、破壊のオオモトである米国で起きている。
環境にも経済にも不利益しかもたらさなくなった巨大ダムを、
破壊して自然の河川に戻す事業が進んでいるのだ。
米国では7万のダムが、日本にはおよそ3000のダムが存在する。
支川も対象に入れると、日本の一級河川でダムのない河は存在しない。
かつては電力供給の重要な利器だったダムだが、
今では必要のなくなったダムや、治水上悪影響のダムも多くなっている。
(今でも電力の17%は水力である。)
僕は、山が持つ自然のダム機能を保全し、林業が盛んになる事が、
これからのトレンドになっていくべきだと思っている。
ダムを自然の河川に戻す公共事業は、とても簡単。
ダムを破壊して撤去するだけだ。
あとは、大自然の雄大で神秘的な力が、複雑に入り組んだ機能と生態系を独自に取り戻す。
わずか数年で、数匹から数千匹まで「戻り鮭」が復活した事例は、多くの日本人にも知ってもらいたい。
その時代的潮流を獲得するまでに、どれだけ情熱的に、クリエイティブに、
そして科学的かつ政治的に人々が動いたか、というこの記録は、
昨今あふれかえるどんなフィクション映画、アニメにも増して、僕にはスペクタクルを感じさせてくれた。
日本の環境運動に(或いは社会に)、決定的に欠如している
「とんちとユーモア」をまざまざと見せつけられる。
映像の素晴らしさも相まって、何度も観たくなる。
パレスチナHIPHOPを描いた『自由と壁とヒップホップ』以来、今年2発目の、ビッグヒットである。
「全日本人、必見!」と云わせてもらおう。
この映画の製作に資金を出した、パタゴニア社に心からの敬意を払いたい。