MESSAGE from 龍村 仁(映画監督)

 

私達が、その風景を前にして一瞬「これは美しくない」と感じる時、
そこには私達人類の生き様と地球(ガイア)の生命システムとの間の乖離が秘んでいる。
しかし、私達はその「美しくない」と感じる直感を
「これは自分の個人的な情緒に過ぎない」と無理矢理押え込んで、
その「美しくない風景」を受け入れようとする。
その風景を作ったのは自分達であり、その恩恵も受けていることを知っているからだ。
こうして21世紀を生きる私達人類は“美しい”地球(ガイア)の生命システムから乖離し続け、
そのことに依ってストレスを溜め込み、今や絶滅の危機に瀕している。

ある風景を前に「美しくない」と感じる直感力は、単なる個人的な情緒ではない。

母なる星地球(ガイア)の超高度な生命システムの一部分として生かされている私達自身の
内側から聴こえてくる地球(ガイア)からの警告である。

私達は、自分の“美しくない”と感じる直感力にもっと自信を持たなければならない。

“美しい”と感じることのできる自分に感謝しなければならない。

この映画は、母なる星地球(ガイア)の超高度な生命システムの“美しさ”を身をもって知り、
自分自身がその“美しさ”に生かされている事に気付き、
その“美しさ”を21世紀に甦らせようと葛藤する人々の記録である。

「私にとって“美と多様性”は同義語だ」と喝破したのは
世界的な宇宙物理学者フリーマン・ダイソン(地球交響曲第三番)だ。

「私にとって“神”とは、大自然の超高度なメカニズムの実態のことだ」と言ったのは、
一粒のトマトの種から遺伝子操作も特殊肥料も使わず、
1万5千個も実のなるトマトの巨木を育てた直物学者野澤重雄さん(地球交響曲第一番)だ。

巨大ダム・巨大防潮堤・原子力発電所はみな”美しくない”。

映画『ダムネーション』 – DAMNATION