MESSAGE from 飯田哲也(ISEP 環境エネルギー政策研究所 所長)

 

この映画で次々に壊されていくダム(水力発電)は
「再生可能エネルギー」の一つなのだが、
「旧い再生可能エネルギー」として位置づけられ、
国際的にもこれ以上は増やすべきではないことがコンセンサスになっている。
背景には、太陽光発電や風力発電など「新しい再生可能エネルギー」が
コスト的にも量的にも十分に代替を期待できる勢いで
普及している現実があるからだ。

 

それにしても、ダムが逆回しのフィルムのように壊されていく映像は、
いろいろなことを教えてくれる。
人の価値観は変わってゆくということ。
かつてはダムを「成長と豊かさ」の象徴と考えていたが、
今では多くの人が、ダムを壊して取り戻す自然な河の方が
「豊か」に感じるようになった。
移ろったのではなく、成熟したのだ。
また、かつてダムで自然を壊すという過ちを犯したが、
それは改めることができ、そして自然は再生されてゆく。

 

さて日本は、未だに何百ものダムが計画され、次々に作られ、
未だに「ダムネーション」を脱却できない。
あれだけの破局的な事故を引き起こしながら原発も脱却しようとしない。

 

そうした日本からの転換のヒントがこの映画にはあると思う。

映画『ダムネーション』 – DAMNATION